管理者アカウントを安全に管理する方法
WordPressの「管理者(Administrator)」権限を持つアカウントは、サイトのあらゆる操作ができる、いわば最も強い権限を持つアカウントです。投稿の編集はもちろん、テーマやプラグインの変更、ユーザーの追加・削除、サイト全体の設定変更まで、すべてを行うことができます。
裏を返せば、このアカウントが乗っ取られたり、不適切に運用されたりすると、サイト全体に深刻な影響が及ぶということでもあります。この記事では、管理者アカウントを安全に管理するための基本的な考え方と具体的な方法を紹介します。
なぜ管理者アカウントの管理が重要なのか
管理者アカウントの管理が不十分だと、以下のようなリスクにつながります。
- 不正ログインによる乗っ取り:推測されやすいユーザー名・パスワードのままだと、総当たり攻撃などで突破されるリスクが高まります。
- 退職者・異動者のアカウントが残り続けることによる情報漏えいリスク:担当者が変わってもアカウントを放置していると、本来アクセス権限を持たないはずの人物がログインできる状態が残ってしまいます。
- 誰が何を変更したか分からなくなる:複数人で1つの管理者アカウントを共有していると、トラブル発生時に原因の特定が難しくなります。
基本の考え方:管理者権限は「必要な人に、必要な分だけ」
WordPressには、管理者以外にも「編集者」「投稿者」「寄稿者」「購読者」といった権限レベル(ロール)が用意されています。
| 権限(ロール) | 主にできること |
|---|---|
| 管理者 | サイト全体の設定、テーマ・プラグインの変更、ユーザー管理など、すべての操作 |
| 編集者 | 自分以外の投稿も含め、すべての投稿の作成・編集・公開 |
| 投稿者 | 自分の投稿の作成・編集・公開 |
| 寄稿者 | 投稿の作成・編集はできるが、公開は管理者・編集者の承認が必要 |
| 購読者 | プロフィールの閲覧・編集のみ |
日常的にブログ記事を更新するだけの担当者に管理者権限を与えてしまうと、誤ってテーマやプラグインの設定を変更してしまうなど、意図しないトラブルの原因になることがあります。それぞれの担当者に必要な権限だけを与えることが、安全な運用の基本です。
管理者アカウントを安全に管理する具体的な方法
1. アカウントを個人ごとに分ける
複数人で管理者権限が必要な場合でも、1つのアカウントを複数人で共有するのは避けましょう。個人ごとにアカウントを分けておくことで、万が一トラブルが起きた際に「誰がいつ何を変更したか」を追跡しやすくなります。
2. ユーザー名を推測されやすいものにしない
サイト作成時の初期設定のまま「admin」というユーザー名を使い続けているケースは少なくありません。総当たり攻撃では、まずこうした一般的なユーザー名が狙われる傾向があるため、個人名や部署名など、他者に推測されにくいユーザー名に変更しておくことをおすすめします。
なお、WordPressの管理画面では、一度作成したユーザー名は直接変更できない仕様になっています。変更したい場合は、新しいユーザー名で管理者アカウントを作り直し、投稿の権限などを移し替えたうえで、古いアカウントを削除するといった手順が必要です。
3. 強固なパスワードを設定する
- 名前、誕生日、辞書に載っている単語など、推測されやすい文字列は避ける
- 英大文字・小文字・数字・記号を組み合わせた、十分な長さのパスワードにする
- 他のサービスで使っているパスワードを使い回さない
WordPressのユーザー編集画面には、パスワードの強度を自動判定してくれる機能もあるため、設定時に参考にするとよいでしょう。
4. 二段階認証を導入する
パスワードに加えて、スマートフォンの認証アプリなどを使った「二段階認証」を導入すると、万が一パスワードが漏えいした場合でも、不正ログインを防ぎやすくなります。二段階認証は専用のプラグインを追加することで導入できます。
5. 退職者・異動者のアカウントは速やかに削除・変更する
担当者が退職・異動した際は、そのアカウントを放置せず、速やかに以下のいずれかの対応を行いましょう。
- アカウントを削除する
- 権限レベルを引き下げる、またはログインできない状態にする
特に、外部の制作会社やフリーランスに一時的に管理者権限を付与していた場合、作業完了後にそのアカウントを削除し忘れるケースはよくあるため注意が必要です。
6. 管理者権限を持つアカウントの数を定期的に見直す
一度発行した管理者アカウントは、時間の経過とともに「誰が何のために持っているのか」が曖昧になりがちです。定期的にユーザー一覧を確認し、現在も管理者権限が必要かどうかを棚卸しする習慣をつけておくと安心です。
あわせて確認しておきたいこと
- ログイン試行回数を制限する:総当たり攻撃への対策として、一定回数ログインに失敗したIPアドレスを一時的にブロックする設定も有効です。
- 不審なログインがあった際に通知を受け取る設定にする:プラグインによっては、新規ログインやログイン失敗があった際にメールで通知を受け取れる機能があります。
- 管理画面へのアクセスをIPアドレスで制限する:社内など特定の場所からしかアクセスしない運用であれば、サーバー側の設定でアクセス元を制限することも検討できます。
まとめ
管理者アカウントは、サイト運用における「鍵」にあたる重要な存在です。
- 管理者権限は必要な人にだけ、必要な分だけ与える
- アカウントは個人ごとに分け、共有しない
- 推測されにくいユーザー名・強固なパスワードを設定する
- 退職者・異動者のアカウントは速やかに整理する
- 定期的にアカウントの棚卸しを行う
日々の運用の中で見落とされがちな部分ですが、地道な管理の積み重ねが、サイト全体のセキュリティを大きく左右します。
「アカウント管理の体制づくりから相談したい」「セキュリティ対策全般を見直したい」という場合は、お気軽にお問い合わせください。